約束 (渓魚の泳ぐ川) =前編=

おじさん

2010年11月14日 10:13

約束

Masayo・・・マサヨ・・・まさよ・・・真佐代
悲しそうな顔の・・・

その日私は先週手に入れたフライロッドを試すために、
渓流(かわ)へ入っていた。
晩春の日差しは早朝にもかかわらず、
暖かく私を包んでいた。
そして、渓流へ入ってまもなく最初の
溪魚(さかな)を掛けた。
軽いやり取りの後、溪魚は私の手の中へ入ってきた。
溪魚は山女魚であった。
このロッドで釣った初めての山女魚に心が弾む
その美しさに見とれていると



「放してあげて」・・

そんな声が聞こえた気がした
辺りを見まわすが誰の姿も捉えられない、
気のせいか・・・
山女魚をリリースした。
初めからリリースするつもりでいたのだ。

暫く渓流を釣上ったが、
その後溪魚を掛けることが出来なかった。
気分を変えるため、
近くにあった大きなブナの下に腰を下ろし
煙草に火をつけた。そしてベストのポケットからスキトルを取り出し
一口、琥珀の酒を喉へ流し込んだ。
煙草を燻らせていると眠気が私に忍び寄ってきた
眠いとても・・・
ここのところ、仕事で残業が続き疲れているのだなと
思いながら・・・
私は眠りに落ちていった。

夢を見た・・・美しい人だった・・・悲しい顔の・・・
夢の中で、彼女は自分をマサヨと言った
私が先週手に入れたフライロッドの最初の持ち主であったことを話た。
そして、釣った魚はすべて放してくれるなら貴方の手に溪魚を委ねると言った。
私は黙って頷いた。
すると彼女は小さく微笑むと消えていった。

それからの釣りはとても信じられないぐらい釣れた。
自分が考えた溪魚たちのポイントのすべてから釣れて来る。
私は我を忘れた。

「続く」

初回発表 2006.2.4 旧おじさんのブログより
前編までは書いてみたものの、後半がイマイチでUPしないうちに
今日まで。今では構想も思い出せません。
後編は皆さんの手で作ってもらうしかないかなぁ・・・
ちなみに、なぜ、マサヨなのかも、思い出せません。


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